映画俳優を一度だけ・・・

ウィリアム・ハートをたった1度だけ遠くから見たことがあります。
それはヴィム・ヴェンダースの新作『夢の涯てまでも』の製作発表記者会見が東京で行われた時だったのですが、あまりにも数多い出席者が広い会場を埋めたその席上で、彼の姿はまるでスクリーンの向こう側の遠い存在にしかみえなかったのでした。
最近はハリウッド・スターたちの来日ラッシュが続き、たとえばリチャード・ギアやアーノルド・シュワルツェネッガーのような華やかなスタアたちでさえ私たちの身近な存在に感じられるようなことも多くなって
きているのだけれど、そんな中でウィリアム・ハートは今もどこかにミステリアスな魅力をたたえた銀幕の彼方の人といったイメージを持つ数少ないひとりです。
そういえば、ジャック・ニコルソンやロバート・デ・ニーロなどに比べてさえも、ウィリアム・ハートのインタビュー記事というのにめったにお目にかかったことがありません。
それに映画の中の彼のキャラクターと、そして時折耳に入ってくる私生活のスキャンダル(?)とのギャップに、私は何度となく迷わされたものでした。
一見、強烈な個性とはほど遠いソフトで優雅な知的イメージに溢れながら、そのくせどこか動物的とでもいえる存在感であたりを圧倒してしまうような大きさ。
ひどくセクシュアルにみえたかと思うと、今度はまるで少年のようなイノセンス。
あるいは女性的ともいえるやわらかな物腰で現実感を超越してしまうような計りしれない未知の人物としてのイメージ・・・。