ワイルド~ その2
ヴァルは、84年のジム・エイブラハムズ&カー兄弟による傑作コメディ『トップ・シークレット』のロック・スター役で映画デビュー。
ここでもオリジナル数曲を、劇中で軽快に歌いこなしているのです。
続く第2作『天才アカデミー』では、粗野で無神経で遊び好き、そのくせ大学での成績はナンバー・ワンという"まぎれもない天才"を瓢々と演じました。
87年の『地獄からの脱出』では演技派へ移行。
ブロンドの髪を黒く染め、いわれなき罪で投獄され苦難を強いられながらも、出版界で成功を収める実在の人物エリオット・バーンズを熱演。
冒頭の豪雨の中でのアジテーションは圧巻です。
G・ルーカス製作の『ウィロー』では、ドジで間抜けですがひょうきん者で、野性味溢れる豪腕剣士マッドマーティガン役で人気を確定。
翌年のTV作品「ビリー・ザ・キッド」では、周囲との同調を許さず、時流から大きく逸脱し破滅へと一直線につき進んでいく、若き無法者ビリーを演じました。
こうやって彼のフィルモグラフィーをたどっていくと、役作りの全てが『ドアーズ』の中で見事に昇華されていたのが分かります。
1作ごとに異なった役を、持ち前の演技力で水準以上にこなし、なおかつその演技経験を新たな個性として完全に貯蓄し、必要に応じて引き出せる器用さ、手札の多さがキルマーにはあるのです。
先に述べた『トップガン』の優等生役もまたしかり、なのです。
映画以外でもキルマーは、舞台への出演は勿論、その脚本執筆、詩集の出版、自費による核ドキュメンタリーの製作と多才ぶりを発揮しています。
多くの監督が、彼にラブ・コールを送り続けているにもかかわらず、年1本という出演ペースを守り続けているあたり、確固たる自信がうかがえて、心にくいばかりですね。