ワイルド~
ヴァル・キルマー

ワイルドかつセクシー。
クールで知的な匂いを醸しながらも、どことなくコミカルで、歌も上手い・・・。
栴檀は双葉よりかんばし、幼少のみぎりから演技の才能を発揮し、名門ジュリアード学院演技科に最年少入学を果たしたヴァル・キルマーが、一般にも広く知名度を得たのは、86年の『トップガン』からでしょう。
とにかく映画が特大ヒットしたため、トム・クルーズのライバルである、エリート・パイロット役を演じたキルマーと脚光を浴びる形になりました。
しかし、この手の作品ではあまりに有りがちな役であり、出番の少なさも手伝って、キルマーの個性や演技力云々を言及するにはおぼつかないという印象を与えました。
ところが、彼の他の出演作と見比べていった時はじめて、この優等生パイロットが、キルマーの類まれなる演技力の産物だったと気付かされるのです。
『ドアーズ』は、キルマーの蓄積されてきたパワーが全開噴出した作品。
日本での興行はいまいちふるわず、中途半端なドアーズ・ファンからは不評だったものの、キルマーの演技だけは各方面で評価されました。
つぶらな瞳と特徴ある前歯が、ビーバーを連想させる愛敬ある顔立ちの彼が、"リザード・キング"ジム・モリソンを演じるのはちょっと大変かなとも思ったが(ジムを演れるのはジョン・サベージ以外ないと思っていただけに)、映画が進むにつれ、まるで生き与しのように見えてくるのには驚きました。
特に、霊気さえ感じさせるステージ・アクトと、歌いっぷりのソックリさには脱帽です。
エンディングのテロップを見て、歌のほとんどがキルマー自身による事を知り、その歌唱力に感心した人も多いでしょう。